【まとめ】ジャニーズおっかけマップ裁判とは?判決文をわかりやすく解説!

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少し前から大きな話題となっているジャニーズ事務所。

昨日は社長交代や今後のジャニーズ事務所のあり方などについて会見が行われましたね。

今回ジャニーズ事務所が注目されたことで色々調べていると「ジャニーズおっかけマップ裁判」というものを知りました。

こんな裁判があったことはこれまで全く知りませんでした。

ということで、この記事では「ジャニーズおっかけマップ裁判」の判決文をわかりやすくまとめてみようと思います。

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目次

ジャニーズおっかけマップとは?

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「ジャニーズおっかけマップ」はジャニーズ事務所のタレントさんについて詳しく書かれている本です。

平成8年9月に発売された初版本には、ジャニーズ事務所のタレントの自宅や実家の所在地が掲載されていたようです。

平成8年9月10日に「ジャニーズおっかけマップ」と題する書籍(以下「96年度版おっかけマップ」という。)を原告らに無断で出版し、その販売を行っていたが、右「96年度版おっかけマップ」には、原告ら及びジャニーズ事務所所属のその他のタレントらの自宅や実家の所在地が、地図や写真付きで町名まで示されて掲載されていた

東京地裁 平成10年(ワ)第1603号 出版差止請求事件

その後何度も出版されている人気シリーズなんですね。

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ジャニーズおっかけマップ裁判をわかりやすく解説

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ジャニーズおっかけマップ裁判とは簡単に言えば、「ジャニーズおっかけマップ」に続いて出版される予定だった「ジャニーズ・ゴールド・マップ」と「ジャニーズおっかけマップ・スペシャル」の出版差し止めをめぐる裁判です。

裁判の判決文はかなり長く、難しい部分も多いので、この記事ではなるべくわかりやすく簡潔にまとめていきたいと思います。

どんな裁判だったのか

ある出版社が、ジャニーズ事務所所属のタレントの自宅や実家の住所や電話番号などを記載した「ジャニーズおっかけマップ・スペシャル」と「ジャニーズ・ゴールド・マップ」を出版することを予定していました。

これに対してジャニーズ事務所のタレントと事務所が、「本の内容がタレントのプライバシーを侵害している」として、出版の差止めを求めて裁判所に提訴し裁判となりました。

訴えた側(原告)ジャニーズ事務所に所属するタレント・ジャニーズ事務所

訴えられた側(被告)書籍を出版しようとしていた会社

原告のメンバー

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東京地方裁判所の判決文に原告(訴えた側を指します)には、SMAP・TOKIO・KinKi Kids・V6、そして事務所が名を連ねていました。

以下東京地方裁判所の判決文の抜粋です(誰でも読むことができるものです)。↓

まずSMAPのメンバーの名前があります。

(一) 原告中居正広、同木村拓哉、同稲垣吾郎、同草彅剛、同香取慎吾は、原告事務所に所属するタレントで、「SMAP」と命名されたグループに所属している。

東京地方裁判所 平成8年(ワ)21783号

次にTOKIOです。

(二) 原告長瀬智也、同城島茂、同山口達也、同国分太一、同松岡昌宏は、原告事務所に所属するタレントで、「TOKIO」と命名されたグループに所属している。

東京地方裁判所 平成8年(ワ)21783号

KinKi Kids。

(三) 原告堂本剛、同堂本光一は、原告事務所に所属するタレントで、「KinkiKids」と命名されたグループに所属している。

東京地方裁判所 平成8年(ワ)21783号

V6です。

(四) 原告坂本昌行、同長野博、同井ノ原快彦、同森田剛、同三宅健、同岡田准一は、原告事務所に所属するタレントで、「V6」と命名されたグループに所属している。

東京地方裁判所 平成8年(ワ)21783号

そして事務所。

(五) 原告事務所は、アーチストの育成及びマネージメント等を業とする株式会社である。原告事務所は、タレントと専属契約を結び、そのマネージメント全般を執り行っている。

東京地方裁判所 平成8年(ワ)21783号
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ジャニーズ事務所とタレントの主張

原告である事務所とタレント側からの主張を簡単にまとめるとこんな感じです。↓

個人の自宅や実家の住所や電話番号は個人情報である、これは社会常識として当然だ。

いくら芸能人でもそこまでの個人情報を公表されるのはひどすぎるそんなことをされたら家族や関係者(近所など)が大迷惑するし、自分たちも逃げ場がなくなる。

実際「おっかけマップ」の発売で迷惑を被っている事実がある。

これ以上の個人情報が世間に出回るのはあまりにも酷いことであるから出版を差し止めるべきだ。

以下は判決文を抜粋しつつ上記のまとめの詳細を記したものとなります。↓

一般的には、個人の自宅や実家の所在地、電話番号は個人情報です。

そのプライベートな情報が個人の承諾なく公開されるということは、心理的な負担や不安を覚え私生活の平穏が脅かされます。

人は、住所や電話番号を、自分の近親者や友人、仕事関係者等に必要があって知らせることはありますが、これは当然「不特定多数の者に知られることについての承諾」を意味するものではありません。

個人情報がプライバシーとして尊重されるべきことは、この社会の中では常識として認識されています。

例↓

  1. NTTは、加入者の希望により、電話帳への電話番号及び住所の不掲載、番号案内サービスからの除外している
  2. 新聞社は、事件報道において被疑者・被害者等の住所を掲載せず、また、投書欄においても、投書者の住所について市町村名程度にしか特定しない
  3. テレビの報道番組などでは、電柱等に付けられている住所表記プレートや、個人宅の表札が画面に映るときは、いわゆるモザイク処理を施す
  4. 住民票は、本人、本人と同一世帯に属する者、国又は地方公共団体の職員が請求する場合以外には、弁護士、司法書士等がその資格及び職務上の請求である旨を示したとき又は市町村長が相当と認めた場合でなければ、みだりにその閲覧、写しの交付を受けることはできない

芸能人であっても一般人と同じく私生活の平穏に生活する権利はあります。

芸能人が職業柄、自分の日常がある程度公表されることを事前に承諾しているという立場に立ったとしても、その範囲は、無制限ではなく、社会常識の範囲に限られるはずです。

自宅や実家の所在地、電話番号は、芸能活動を営み、発展させていくには関係のないことです。

実際に出版物として市販されている芸能関係の名簿には、芸能人の所属事務所等が連絡先として掲載されており、自宅や実家の所在地や電話番号は掲載されていない。このことは、芸能人が著名人であっても同様であり、後記被告らの主張のうち、原告タレントらが著名人であるからプライバシーの権利を否定されるとの主張は失当である。

人気の高い芸能人の自宅や実家の所在地や電話番号が公開されれば、多くの弊害が出ます。

  • 多数のファンが自宅や実家に押しかける可能性あり
  • 自宅や実家にのべつまくなしに電話が掛かってくる可能性もあり
  • 場合によれば心ない者から悪質な嫌がらせを受けることも考えられる

おっかけマップが発売されただけでも、原告タレントら本人だけでなく、その家族、関係者らは既に多大な迷惑を被っています。

本件書籍には、それより詳しい情報が掲載されるのであるから、本件書籍等の出版・販売等によって原告タレントらは、自宅や実家という唯一の逃げ場を失い、回復しがたい損害を被ることになります。

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被告側の主張

被告となった出版社の主張を簡単にまとめるとこんな感じです。↓

個人情報を公表されたくない自由というものは、社会的地位や名誉がとんでもなく貶められる場合に限るべき

個人の自宅・実家の場所が公表されることは社会的地位や名誉には何の影響もない。

そもそも芸能人になるということは、公的立場みたいなものだからプライバシーはあってないようなものだ。

アイドルを目指しアイドルで居続けるのであれば、自分に関する記事の公表には同意しているようなものである。

そしてアイドルの私生活が脅かされるのは、本の出版は関係なく、一部の常識がないファンのせいである。

以下は判決文を抜粋しつつ詳細をまとめたものになります。↓

私生活上の事実として公表・公開されたくない自由、利益とは、本来それが公表されることによって当人の社会的地位、名誉等が著しく毀損されかねない性質の事柄に限るべきです。

個人の自宅や実家の所在地は、他人に知られたくない自由や、公表・公開によって侵害されるところの法的利益を有するものとは解釈されません。

住民基本台帳法は、住民の利便の増進と行政の合理化のため、住民一人一人に対して住所の届出を義務付けており、個人の住所は、住民基本台帳に登載され、公開されるべき性質の事柄である。

また、勤務先の情報については、「職業の種類、どんな仕事先で働いているかを知られたくない」という私生活上の事柄であり、法的保護の対象とされるべきことは否定はできないとしても、住所やその電話番号は法的保護の対象とされるべきものではありません。

そして著名人はプライバシーの権利を放棄したと考えられる場合があり、私生活の一部が公の正当な関心の対象となる場合も考えらます。

原告タレント達のように、大衆のアイドルを目指し、かつ、アイドルであり続けようとするならば、自らに関する記事の公表に同意したものとみなされるべきものでしょう。

地位が公的なものとなった以上、公表されようとする私生活上の事実も、もはや、私的なものではあり得ません。

したがって、原告タレントらについては、プライバシーの権利は否定されることになります。

原告らの主張する私生活の平穏に対する侵害は、本などの出版・販売等によって起こるものではなく、一部の非常識なファン達によって起きることです。

これは、原告タレントらが著名人となる過程において既に生じている社会現象なのです。

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東京地方裁判所の判決

裁判所の判決文を簡単にまとめるとこんな感じです。

「おっかけマップ」に載ったジャニーズタレントの中には実際に被害にあっている人が出た。

  • 実家や家の前にファンが集まり、近所も迷惑している
  • 写真をとられる
  • 生卵を投げつけられる
  • 郵便物が持ち去られる
  • ひっきりなしの無言電話
  • 洗濯物が盗まれる
  • 早朝深夜時間を問わずインターホンを鳴らされる
  • 落書きされる

芸能人であってもプライバシー権が失くなるわけではないし、本人に著しい私生活上の不利益を強いるような情報の公開まで受け入れる必要はない。

表現の自由や出版の自由は守られるべきであるが、それを考慮してもジャニーズタレントらの人格的利益の保護が優先だと考えられるので、違法な行為というほかはない。

ジャニーズタレントからの出版、販売の差止めのみを認める。(事務所からについては認めない)

以下は判決文になります(一部読みやすいように言葉を変えている部分があります)

 おっかけマップに掲載されたジャニーズのタレントらの中には、実家や家の前に多くのファンが集まり、近所から苦情が出ている。

他にも写真を撮られる、郵便物が持ち去られる、生卵を投げつけられる、無言電話がひっきりなしにかかる、洗濯物が盗まれる、空き缶や石を投げつけられる、早朝・深夜を問わずインターホンのチャイムが鳴る、落書をされる、などの被害が急に増えたことが認められる。

芸能人がその職業上、自分の日常生活についてある程度公表されることは了承しているということがあったとしても、著名人あるいは芸能人が私生活の平穏を享受するという人格的利益(プライバシー権)を喪失するいわれはなく、営利を目的とし、本人に著しい私生活上の不利益を強いるような情報の公開まで、受忍しなければならないいわれもない。

また、芸能人にとって、実家や自宅についての情報が公表されることは、私生活だけでなく、芸能活動そのものに障害が生じることも考えられるのであって、個別に公表を承諾することがあったとしても、一般的に公表を了承しているとは考えられない。

表現の自由あるいは出版の自由が私法秩序の上でも尊重されなければならないとしても、今回の書籍の内容は、公益を目的とするものではなく、「おっかけ」を助長することにより出版社らの営利を図るものであり、そのような性質を有する書籍の出版、販売という表現・出版の自由よりも、ジャニーズタレントらの人格的利益の保護が優先するものというべきであり、表現・出版の自由ということを考慮しても、書籍の出版、販売はジャニーズタレントらの人格的利益を侵害する違法な行為というほかはない。

しかし、ジャニーズタレントらの私生活の平穏を享受するという人格的利益は、ジャニーズタレントらそれぞれに固有のものであり、ジャニーズタレントらはそれぞれその利益を守るべく今回の請求をしているのであるから、ジャニーズ事務所がジャニーズタレントらの人格的利益に基づく請求権を行使する余地はないし、ジャニーズ事務所が出版社らに書籍の出版、販売の差止を求めることができない。

よって、ジャニーズタレントからの出版、販売の差止めのみを認める。

裁判の判決文は下記のURLから読むことが出来ます。↓

【事件名】SMAP追っかけ本事件A
【年月日】平成9年6月23日
 東京地裁 平成9年(ネ)第3114号、第3595号、平成10年(オ)第1498号、平成8年(ワ)第21783号 出版差止等請求事件

https://www.translan.com/jucc/precedent-1997-06-23.html
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まとめ

ジャニーズおっかけマップ裁判について簡単にまとめました。

しかし、裁判の判決文というのは本当に難しくて読みにくいですね汗。

もっとちゃんと勉強しておけばよかったなと思いました。

それでは今回はこの辺で失礼します。

最後まで記事を読んでくださいましてありがとうございました。

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