セクシー田中さんの原作者である芦原妃名子先生が亡くなったことが大きな波紋を呼んでいます。
芦原先生は小学館に所属する漫画家で、亡くなる前のブログでは小学館と話をした上で経緯の説明もしていました。
しかし芦原先生が亡くなった後、小学館からの詳しい説明がすぐにはなされなかったため、対応が酷いとの声がSNS上では多くあがっていました。
そんな中、小学館とトラブルがあった漫画家さんたちが声をあげたり、ネット上で過去に話していたことが再浮上しています。
今回の記事は、小学館に在籍している漫画家さんや過去に在籍していた漫画家さん10人のトラブルについてまとめていきます。
小学館への批判が殺到
※注意 批判と誹謗中傷は全く別のことです。そして誹謗中傷は絶対にしてはならないことです。それを踏まえて記事をお読みください。
人気漫画家の芦原妃名子先生が亡くなったことがきっかけで、小学館への批判が殺到しているようです。
芦原妃名子先生の大人気マンガ「セクシー田中さん」がドラマ化となり、ドラマも非常に人気が高く高評価となっていました。
しかし、最終回の日にドラマの脚本家さんが自身のインスタで内情を発信したことが発端で、SNS上では原作者である芦原妃名子先生への批判が出るなどの物議を醸し出します。
その後、芦原妃名子先生からも内情についての説明があり、今度は脚本家さんが批判されるという事態に発展。
そちらの経緯についてサンケイスポーツさんがわかりやすくまとめてくださっていましたので貼っておきます。
最終的に原作者である芦原妃名子先生が亡くなってしまうという最悪の結果となったこの騒動。
一体なぜこんなことになってしまったのか。
この問題から、小学館とトラブルがあった漫画家さんが声をあげたり、過去に起こったことが再度注目を浴びるなどという事態へ発展。
「小学館は漫画家を守らないのか」といった批判が殺到しているようです。
小学館漫画家問題まとめ10選
それではここで小学館に在籍している、または過去に在籍していた方を含めた10人の漫画家さんのエピソードをまとめていきます。
- 上原きみこ先生
- 新條まゆ先生
- 浦沢直樹先生
- 佐藤秀峰先生
- 雷句誠先生
- 高橋しん先生
- ヒガアロハ先生
- 渡瀬悠宇先生
- 藤崎聖人先生
- 芦原妃名子先生
1、上原きみこ先生
上原きみこ先生はフラワーコミックスで人気だった漫画家さんで、ロリィの青春、炎のロマンス、マリーベルなど多くのヒット作品を持つ方です。
その上原きみこ先生は、炎のロマンスを連載している時のことについてこう語っています。
ファンレターは、平均睡眠時間3時間の私の大切な栄養剤だった。
1通も漏らさず読んだ。
そんなある日、担当が言った。「炎のロマンスは人気が落ち目だからもうやめましょう」
そういえば、ここ半年、私は1通のファンレターも受け取っていない。
描きたいことはまだたくさん残っていたが、泣く泣く最終回を描き終えた。
1週間後、編集部で半年間ためこんだ4000通のファンレターが私の手元に届き……私は、読みながら泣いた。
上原きみこ先生
2、新條まゆ先生
新條まゆ先生は、以前小学館との間に起きたことを発信しています。
★月産120ページをこなし半年間コンビニにも行けず、平均睡眠時間は3時間を割る状況だったこともある
★小学館連載時代に、編集者らから考え方がおかしいとして1回だけ休載させられた
★「もうこういう話は描きたくない、違う方向で描きたい」と言ったら連載を終了だと編集長に言われる
★悩みに悩んで小学館を離れる決心を担当に告げると「だったら、いままでの出版物を全部絶版にする」と言われる
★「脅すんですか?」と聞くと「脅してるのはそっちでしょ」と言われる
★小学館を離れるとブログに書くと「作家にあんな偉そうな発言をさせないように管理した方がいい」となる
3、浦沢直樹先生
浦沢直樹先生は小学館との直接のトラブルというわけではありませんが、実写映画化でひと悶着あったことがわかっています。
大人気漫画「YAWARA」が実写映画化されたとき、浦沢先生は脚本に異を唱え、全て自分で書き直したそうです。
そしてプロデューサーはその脚本を使うと言ったのですが、完成した映画には浦沢先生が書いた脚本は全く使われていなかったのです。
浦沢直樹先生の『YAWARA!』が1989年に実写映画化されるときにもトラブルがありました。
浦沢先生は出来上がった脚本に異を唱え、3日も徹夜して自分で全部書き直してしまいました。
プロデューサーは「これ、使わせていただきます!」と脚本を持っていきましたが、浦沢先生が試写会で完成した作品を観たところ、自分で書いた脚本は1行も使われていませんでした。
浦沢先生は「怒り心頭に発しまして、記者会見を全部ボイコットしました」と振り返っています(『X年後の関係者たち あのムーブメントの舞台裏』より)。
ヤフーニュース
このエピソードは、小学館との直接のトラブルではありませんが、ネット上では小学館はもっと漫画家の意見が通るように動くべきだとの意見が出る要因の一つとなっているようです。
4、佐藤秀峰先生
芦原妃名子先生の問題が表面化したことで、佐藤先生の「海猿」のトラブルを思い出した方も多いでしょう。
「海猿」は実写ドラマ化、そして実写映画化され大人気となった作品です。
しかしこの「海猿」の実写化について佐藤先生はかなり嫌な想いをされたようで、以下のことを発信されています。
★「海猿」は映像化へ向けて多くの企画書が届き、詳しい話は聞かされず、ある日映画化が決まっていた
★漫画家と出版社は「著作権管理委託契約」を結び、出版社が作品の運用を決める。契約書には「都度都度、漫画家に報告し許諾を取る」と書かれていたが、それは守られず「すでに企画が進んでいることを理由に、映像化の契約書に判を押すことを要求された。
★映像関係者に会えず、脚本も見たことがない状況だった
★「海猿」に関する書籍が契約書なしに販売されていた
★2006年に映画第2弾が公開された頃には「『海猿』の原作者」を名乗る人物が現れる事態になる
★出版社とテレビ局は「映像化で一儲けしたい」という利害が一致していると感じた
映画は2012年の第4弾まで作られてヒットしました。
しかしずっと我慢を続けた佐藤先生もついには「もう無理だな」と限界に達し、次の契約更新にはNOを突き付けたということです。
完成した映画は「僕が漫画で描きたかったこととはまったく違いました」と納得いかない出来だったが、自分を押し殺し不満を口にすることはなかった。
一方で出版社への不信は募っていく。
佐藤氏は出版社とテレビ局は「映像化で一儲けしたい」という利害が一致しているとし、両者が原作者を蚊帳の外に置いて企画の成功のために動く様子を生々しくつづった。
スポニチアネックス
5、雷句誠先生
金色のガッシュベルの原作者である雷句誠先生も小学館との間にトラブルが発生し、決別を申し入れました。
また原稿紛失については裁判となり、小学館が謝罪と和解金を支払っています。
★金色のガッシュベルについてそれとなく連載終了を申し入れるが、アニメ放映の最中であり、映画2作目の公開も控えていたために、編集部は連載を引き延ばそうとした
★「雷句スタジオ」を有限会社化した際に、担当編集者へ雷句の税理士からの文書にて契約の変更を申し入れたが変更がなされずに1年以上経過。その結果、雷句が税務署に不備を指摘され、小学館の経理とトラブルになった(後に追徴課税分は小学館が全て支払った)
★編集者の度重なるアイディアの強要
★連載終了後、原稿の一括返却を受けるが、数点欠けていたためにその後も数度返却要請を行うも、最終的に5枚のカラー原稿の紛失が確定
雷句氏は、過去に小学館の週刊少年サンデーで『金色のガッシュ!!』を連載していたが、編集部とのやり取りでトラブルになり、最終的には2007年に連載を打ち切った。
その後、小学館から原稿の一括返却を受けるなか、5枚のカラー原稿の紛失が判明し、2008年に同社を提訴。
小学館の謝罪と和解金255万円で和解が成立した。
『セクシー田中さん』の出版社も小学館で、自身も組織と戦った経緯があるだけに、思うところがあったのかもしれない。
SmartFLASH https://smart-flash.jp/entame/272302/
6、高橋しん先生
高橋しん先生の漫画「いいひと。」は草なぎ剛さん主演でドラマ化され、ドラマはヒットしました。
しかし、なんとこのドラマ化が原因で原作の連載が終了してしまったのです。
原作者の高橋しん先生は、「終了を決めた直接のきっかけは、テレビドラマ化でした」と明言しています。
制作した関西テレビ・共同テレビに伝えたドラマ化の条件のなかに「ゆーじと妙子だけは変えないこと」という一文があったにもかかわらず、ゆーじの設定が変えられてしまったことが原因でした。
当初、「原作」だったクレジットは途中から「原案」に変更されています。
「私は、もうこれ以上わたし以外の誰にも変えられずに、読者の方々の中の『いいひと。』を守ること、そして同時に多くの読者の方に悲しい思いをさせてしまった、その漫画家としての責任として私の生活の収入源を止めること、その二つを考え連載を終了させようと思いました」と記しています([しんプレ!]on the web. 平成10年11月20日)。
ヤフーニュース
こちらは小学館との直接のトラブルではありません。
しかしこの件ついても出版社である小学館は漫画家をもっと守るべきという批判があるようです。
7、ヒガアロハ先生
しろくまカフェの原作者であるヒガアロハ先生も、小学館とのトラブルを過去に告白しています。
★アニメ化にあたって編集部から作者への業務連絡がきちんとなされなかった
★アニメを担当した編集の方は、担当編集ではないにもかかわらず、関係者には自分が担当だと言っていたようだった
★アニメ化の話が進んでいると言われた時に、「いつのまに決まったのか?」「現在の進行はどうなっているのか?」「作者の意向はどう伝えればいいのか?」と、担当編集さんに再三問い合わせをしていたのですが、返事がもらえず、放映で初めてどういう内容になっているかを知る状況に陥った
★アニメ関連で契約書が作成されていなかったためヒガアロハ先生には1円の収入もないまま、アニメ関連グッズのデザイン修正依頼が締め切り前の多忙な時期に届く
★無期限休載するというツイートをしたら、翌日小学館へ呼び出され、編集長とメディア事業部の人たちに囲まれて「ツイートは削除しろ」と言われる
★読者からの手紙やプレゼントを全部捨てられていた
ヒガアロハ先生は、ツイッターで無期限休載をするという発信をしました。
しかし契約がきちんとなされるまで、一時連載を見合わせることになり、その後小学館から正式な業務委託の書類と謝罪で連載は再開したようです。
8、渡瀬悠宇先生
渡瀬悠宇先生は、2014年に担当とのトラブルを自身のブログで語りました。
★当時の担当は、その場しのぎ同然の考えで展開をごり押ししてきて、 先生が出すネームを何度も描き直しさせて、自分の思いどおりにならないネームは通さず、自分の理解できないシーンは、大切なシーンだという意味もわからずカットした
★先生は混乱と憔悴で、創作意欲低下と「漫画家やめよう」とまで追い詰められた
★打ち合わせの度にストレスにより腹痛や嘔吐していた
★疲れ切った先生は「あなたの言うとおりに描かないとダメなら、もう私の作品じゃないですね、じゃプロット出してくださいよ?その通り描きますから」と担当の言う通りに描いた
その後、渡瀬悠宇先生は担当を変えてもらうことができました。
そしてその担当の方には、ネームは理解してもらえるようになり、物語の展開について相談に乗ってもらえているということです。
9、藤崎聖人先生
藤崎先生も過去にブログでワイルドライフを描いている時のことをこう振り返っています。
★5年間ワイルドライフ描いていたが、良いことは一つもなかった
★忘れたいくらいに「いい思い出」がない作品だった
この告白と前後して、漫画家が次々にブログで苦言を呈している。
サンデーに08年1月まで「ワイルドライフ」を連載していた藤崎聖人さんは、3月のブログ日記で、努力して描いてきたことを喜びながらも、「5年間ワイルドライフを描いてきて ぶっちゃけ心の底から”よかった”と思ったことなど ひとっつもないくらい、忘れたいくらい いい思い出のない作品」と漏らした。
藤崎さんは現在、小学館のビッグコミックスピリッツで別の作品を連載している。
JCASTニュース https://www.j-cast.com/2008/06/09021499.html?p=all
10、芦原妃名子先生
今回大問題となった芦原妃名子先生のトラブル。
芦原妃名子先生は、自らの命を絶ってしまうという最悪の事態となりました。
芦原先生は「セクシー田中さん」を実写ドラマ化するにあたって以下のような条件を出していました。
★ドラマ化するなら「必ずマンガに忠実に」にすること
★漫画に忠実でない場合は加筆修正をすること
★漫画は未完結のため、ドラマオリジナルの終盤の設定も原作者が用意すること
★原作者が用意したものは原則変更しない。ドラマオリジナル部分は原作者が用意したものをそのまま脚本化する
★場合によっては、原作者が脚本を執筆
しかし条件が守られないことがあり、たいへんな想いをされていたようです。
この件については、『姉系プチコミック』が所属する小学館第一コミック局からの声明が出ています。
また2024年2月15日に、日テレから小学館に協力してもらい社内特別調査チームを設置するという発表がありました。
「日本テレビは今回の事態を極めて厳粛に受け止め、これまで独自に社内調査を行っておりましたが、原作漫画『セクシー田中さん』の出版社であり、ドラマ化にあたって窓口となっていただいた小学館にもご協力いただき、新たに外部有識者の方々にも協力を依頼した上、ドラマ制作部門から独立した社内特別調査チームを設置することにいたしました」とし、早急に調査・検証に努めると伝えた。
ORICON NEWS
芦原妃名子先生のためにも、きちんとした調査がなされることを切に願います。
まとめ
小学館に在籍している、または在籍していた漫画家の先生方に起きたトラブルを、現在わかっている範囲でまとめました。
また新たにトラブルがあった先生や、物申している先生についての情報があれば記事を更新します。
何もないところから素晴らしい作品を生み出すということは本当にたいへんなことですし、誰にでもできることではありません。
ですから原作者の方の権利はしっかりと守られるべきだと思います。
芦原妃名子先生のためにも、原作者の方を取り巻く環境が改善されることを切に祈ります。
重ねて記載いたしますが、誹謗中傷と批判は全くの別物です。
誹謗中傷はあってはならないことだと思います。
この記事を読んでの各方面への誹謗中傷は決してなさらないよう、お願い申し上げます。
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